エネルギー資源とは、文字どおりエネルギーの源となるもので、石油、天然ガスなどのほか、太陽光、風力などのいわゆる「再生可能エネルギー」もエネルギー資源の一つです。
エネルギー資源のうち、海洋に存在するものを「海洋エネルギー資源」といいます。日本は領海、排他的経済水域(EEZ)等の広さが世界第6位となっています。国土だけを見ると小さな国に思えますが、海洋に目を向けると、日本は世界第6位の大国なのです。
近年、この日本周辺の広大な海に、石油・天然ガス、メタンハイドレートなどのエネルギー資源が相当量存在することがわかってきました。日本はエネルギー資源の大半を輸入に頼っていますが、日本近海の海洋エネルギー資源を採取することができれば、将来、資源大国になることも夢ではありません。
国は「海洋基本計画」(平成25年4月策定)の中で、海洋エネルギー資源開発の加速化をうたっていますが、わたしたち国民一人ひとりがエネルギーについて考え、海洋エネルギー資源に関心を寄せることが、海洋エネルギー資源の開発促進につながっていくことでしょう。
(出典)
・「METI journal 6・7月号 海洋資源のフロンティアへ!」 経済産業省
・「海底資源大国ニッポン」 アスキー新書 [監修] 平 朝彦、辻 喜弘、上田 英之
メタンハイドレートとは
※明治大学研究・知財戦略機構特任教授の松本良氏からご助言及び資料のご提供を受けました。
- メタンハイドレートはメタン(天然ガスの主成分)と水分子が低温・高圧状態で結晶化した氷状の固体結晶です。低温・高圧状態でないと存在できないため、例えば、海底で採取したメタンハイドレートをそのまま引き上げてくると、途中で溶けて(メタンと水に分離して)なくなってしまいます。
- メタンハイドレート中には大量のメタンが取り込まれ、1㎥のメタンハイドレートが分解すると、160~170㎥程度のメタンガスが発生します。
メタンハイドレートはどこにある?
- 海底面下や凍土地帯に存在します。このうち海洋に存在するメタンハイドレートは太平洋など大洋の周辺に分布しています。その量は、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の総量にも匹敵すると推定されていますが、資源として使うためには、メタンハイドレートが密集し、まとまって存在している必要があります。
海洋のメタンハイドレートは2タイプ
- 海洋のメタンハイドレートには2つのタイプがあります。1つは南海トラフなどに見られる、海底から100~400mほどのところに水平的に広がって分布するタイプ。これは砂層の中に発達しやすいため、「砂層型」(又は「深層型」)と呼ばれます。もう1つは日本海に多く見られるもので「表層型」と呼ばれます。これは地中の深い所から「ガスチムニー」と呼ばれるガスの通り道を経て供給されるメタンガスにより海底付近で形成された塊状のメタンハイドレートです。
(松本、2012) - 下の左の図がガスチムニーで、直径数百メートルの円柱状上の構造となっています。右の写真はガスチムニーが海底面に到達した付近の写真で、白く見えるものが表層型メタンハイドレートです。
(松本ほか、2009など) (松本ほか、2009など)
◆参考サイト
〇海洋基本計画(総合海洋政策本部)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/index.html
〇メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)
http://www.mh21japan.gr.jp/
〇メタンハイドレート開発実施検討会(経済産業省) ※ページの下の方に掲載されています。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html
〇表層型メタンハイドレートの資源量把握に向けた調査(明治大学)
https://www.meiji.ac.jp/koho/news/2013/6t5h7p00000fgws2.html